▲南船北馬トップページへ

伊豆大島で海彦山彦  …8

 終章       

 他にもいろいろと右往左往した2泊3日の離島の旅だった。噴火科学館ではしゃぎ、大島太鼓に感動し、伊豆の踊子に恐怖した。
 旅にでるといつも思うのだが、本当に時間があっという間に過ぎていく。浦島太郎である。しかも満足することがない。いや旅を満喫したのは確かなのだ。ただ、それですべての思いを遂げたというのはまた別の話なのである。例えば、自転車を持ち込んでの島一周や、港の磯釣りも今回は手付かずなのだ。帰りぎわに輪行袋に分解した自転車を詰め込んでいる者を見ながら、そして岸壁からあまりにも濃い魚影を見ながら、なんと羨ましく思ったことか。

 いつも帰り際にはこう誓う。
「また来る。絶対に」
 そんな後ろ髪を残しながら、船は熱海に向かって出航した。


南船北馬トップにもどる