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冬山で雪まみれ  …1

 レッツゴー! 雪山   

 冬になれば雪が降る。そうなれば雪で遊びたくなるのは本能だ。
 というわけで“いざ冬山に向かわん”と山蟲隊に集合命令がかかった。ちなみに山蟲隊とはいつもの遊び仲間が集まって作った山登りをはじめとするアウトドア遊びのグループ名である。しかし面子はいつもの旅仲間と99%同じなので単に看板を掛け変えているだけという話もある。その名前の由来は、『低山を歩く(著:横山厚夫)』の中に出てきた言葉。なんでも人が山にとりつかれるのは、体に山蟲が入るからそうで、人によって入る時期も千差万別だし、もちろん体質的に憑かない人もいるんだそうな。で、取り憑かれてはじめのうちは“虫”1文字なのが、成長するに従って数が増え、3文字だとかなり重症になる。まさに我々のためにある言葉ではないか。

 さて、今回の目的は「スノシューでスノーハイク」。
 山蟲隊にスノシューが導入されたのはは98年から。なのに、なかなか使う機会を作ることができず、今本格的ブームがきてしまいちょっと物悲しい。
 買った年は、せっかく3泊4日でスノーフィールドに向かったのに、何十年に一度の大雪に襲われ、フィールドにたどりつくことすら出来なかった悲しくも恐ろしい経験しているし、翌年は翌年で仕事で休日出勤、都会にオレひとり取り残される悲しみを経験している。
 そもそも山蟲隊は雪山とはどうも相性があまりよくないらしい。丹沢で大雪にあいあわや遭難というめにあったり、高速道路に閉じ込められたりと、ろくなことがない。もっともそれもまた醍醐味とばかりにはしゃぐところが山蟲隊のいいところ(でもあり悪いところ)なのだが、その話はまたいずれどこかで語ることとして、話は現在(2000年1月)に戻る。

「とにかく! 雪があろうとなかろうと行きたいのだ。ひと月ひと登山! 行くよ、オレは」と強い宣言の結果、とにかく雪(?)山を目指そう、と鼻息も荒くぽんすけ隊員とオレが今回のメンバーとなった。
 しかしこう宣言して自分を奮い立たせなければならないほどに今シーズンは雪がないらしい。去年に輪をかけた超暖冬なのだった。さすがにスキーゲレンデではスノーマシンが稼働しているため雪はあるが、こちらがむかうのは自然の山林。
 いろいろと情報を仕入れてみると中央高速沿いには本当に雪がない。東北方面は多少はマシだが、多少はマシといったレベルで、状況はいってみなければわからない。ちなみに宿の空き情報の調べがてらに雪の状況もきいてみたのだが、どうもいまひとつで、
「う〜ん」とふたりは電話で行き先を吟味するのだった。
「雪があるのかわからないなら多少なりともあるほうがいいのではないかね」
「でももしあったとするなら車で行くのはちょっと不安だしねぇ」
「雪山へ行こうってのにあったらどうしようってのはどういうことよ」
「はじめに雪ありきで考えようぜ」
「それよりも宿はあるのかな」
「問題はそれだ。現地で何とかするしかないだろう。でも満室だとアウトだ」
「じゃ、スキー客がいない山小屋のほうが確実じゃんか」
「そのとおり、じゃ北八ケ岳で決定」
 なんのことはない。はじめから答は出ていたのだった。それが出発3日前のことである。まったくあいも変わらずの土壇場行動が最近目立つが、それもこれも雪の状況がわからないせいなのだからしようがない。と言い訳をしておこう。


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