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出国審査も入国審査もまったく待たされることなく、あっという間に仁川国際空港のロビーに降り立つオレ。兌換や情報収集などをサクッと済ませ、高速バスで一路ソウル市内へと向かう。
「歩き方」によると、バスのチケットはバス乗車後に払うとあったが、仁川空港ではターミナルの真ん中あたりにバス券販売の有人ブースがあった。もっとも、ここ以外ではバスの中で払うシステムだったので、最近変わったのかも知れない。
機内情報ではソウルは摂氏6度。てなわけである程度の覚悟はできてはいたが、確かに寒い。小雨も降っているし。バスがくるまでの十数分間、寒いわ、することないわ、で、ぼーっとたたずんでいると、案内のおっちゃんが配達されたばかりの新聞をくれた。嬉しかったが、ハングル文字は全然読めないんだよなぁ。
バスの中は、暖かく快適でほっと一息。ソウルまでは一時間半の道のりである。
午後3時、鐘路に到着。海外からの(オレもだけど)バックパッカー達と共にバスを降りる。ただ彼らはまっすぐにYMCAに向かっていったが、オレはこれからがひと仕事。宿を決めなければならないのだ。というのも、今回の旅のテーマのひとつが「韓式旅館、オンドル部屋に泊まる」だったからだ。だから事前の予約など不要。着いてから探すのが基本。さっそく、数軒を見てまわることにする。しかし、思いの外、時間がかかってしまった。というのも、帯に短し襷に長しで「料金は安いがオンドル部屋はない」とか「きれいだが雰囲気が怪しそうで入りづらい」とか「料金が値上がりしていた」とか、どうも決め手に欠ける状況に陥ってしまったのである。こうなると優柔不断な性格がフル回転してどうにも埒があかない。本当ならもう少し見てみたかったのだが、小雨降る中、気力も萎え、今回は仁寺洞の『新宮荘旅館』に決めた。鍵が二重にかかり、そこそこ部屋も小綺麗で、まあ妥当な線だろう。なによりもコンビニが近くにあって、地下鉄駅も近くというのが決め手になった。あとになってわかったことだが、まわりに居酒屋があるせいか夜遅くまでわりと騒々しかったが、これはオレ的には許容範囲。むしろ居酒屋近所はオーケーの条件であると思う。もっともそれが上手く活かされることになったかは別の話だ。
実は、チェックインして、そのすぐあとで隣の部屋から、いかにも連れ込みしてます風の物音が聞こえてしまい、アレレと気持ちが萎える場面がないわけではなかったが別にそういう宿ではなく、地方からの家族連れやビジネスマンなども泊まっている普通の宿なんだけどね。