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台北ぶらり旅  …15

 ナイトショー! お調子者   

 で、またまたヒト駅移動して、今晩のメインイベントである京劇などの中国伝統芸術の常設小屋であるタイペイ・アイ見物である。ところが今度は、到着時間が早すぎ、もうちょっと待ってくださいと云われ、仕方なく街へ漂い出す。ふらふらしていると香港ではおなじみのスーパー、ウェルカムが見つかったのでこれ幸いと吸い込まれていく。地元乾物食材系土産を物色して時間をつぶし、30分前に会場に戻ると待っている観客も増えていて、ようやくそれらしい感じになってきた。
 オープン前にはロビーで中国独楽や操り人形などの、ちょっとしたデモンストレーションもあって、もちろんそれは商売ということもあるのだけれど、飽きさせることがない。ようやくショウビズらしい状況に出会えて気分も再び上向き基調だ。
 今日のプログラムは、人形劇、音楽、雑伎である。期待していた京劇はないのが残念なのだが、それはまた次回のお楽しみだ。と、広い心で云えるのは人形劇がとってもよかったから。話は定番の西遊記で筋がわかっているというのもよかったのだろうが、舞台として完成されている。指人形劇なのだが、その動きが凄く、激しい中にも華麗さがあり、早変わりあり、火炎吹きまくりありの、スペクタクルかるダイナミックな舞台構成で実に素晴らしい。人形自体も、単に一か所でとめられただけのプラプラした足なのに、名人の手にかかると絶妙な手の動きが伝わり、本当に走っているように見えるのだ。しかも実に素早く。まさに疾走しているようだ。ポンと舞台の奥へ投げあげられたりするが、どうみても人形自体が跳躍したとしか思えない動作になっているのだ。まるで生きているかのような人形劇に感動感激なのであった。
 第2部の音楽は胡弓と笛の演奏。笛も凄かったのだが、オレはやはり胡弓に鳥肌がたった。ぞぞぞっとくるほどに素晴らしい。
 最後の演目は雑伎。でも実は、これにはそれほど期待していなかったのだ。雑伎はもともとそんなに凄いと思うようなものではないし、軽技自体は確かにすごいかもしれないが、それだけだなぁ。と思っていたのだ。実際に見ながらも、台湾の民族衣装を来て雰囲気は出しているものの、結局は普通の軽技ではなぁ、なんか興醒めだなぁと思った。が、演目が進むにつれ内容もハードになり、ラス前の椅子を積みあげてその上での芸は、舞台では天井にぶつかってしまうため、客席で行ったのだが、これがもうこれでもかと云うぐらいに何段でも天を目指していく。最後は天井に触れんばかりまでの高さに到達するのだ。これが目の前で行われている。落ちたら確実に怪我をする。そう実感できる場所に彼はいたのだ。背筋に寒気がきた。前言撤回。軽技恐るべしだ。
 ラストはお約束の組み体操。十数人もが組み上がり、えい! とばかりに見栄を切る。もうカッコイイ。やっぱ生の迫力にはかなわないし魅力は十分にあった。力わざでねじ伏せられた、そんな感じだった。

 終わってみれば時間は10時近く。不覚だった。夕食を先に食べておくべきだったのかもしれない。でも今晩は士林夜市で屋台料理を体験、てのが念頭にあったのだ。やむを得まい。とにかく時間が勿体ないので、夜市に向かう。一昨日は行かなかった臨時の屋台街に向かう。屋台街といってもでっかい建物の中に全部の店が入り込んでいて、イメージとしては屋内市場に近い。ってそのまんまか。ともかく、すごい活気である。さすがは週末、さすがは本番という感じ。客も街の人から若人達まで色々。気がついたのは修学旅行の高校生たちが異様に多かったこと。場内に入る前にガイドさんに諸注意を受けていたのがなんとなく微笑ましかった。
 さて、屋台だが、実際に聴くと見るとでは大違いで、基本的に鉄板焼きがメインなのであった。それこそ海鮮よりも肉、ステーキが多かったのが予想外でちょっとびっくり。いわゆる屋台のジャンクフードではなく、それよりは一歩ランク上の様相である。オレとしてはビーフンをはじめとした下町ジャンクな感じを求めていたのでちょっと拍子抜けという部分はないわけではない。あとは、屋台につきものの(?)テキ屋っぽいのも、場内のはしのほうにまとまってあったことはあったんだけど、ひとけも少なく活気に欠ける。こちらも拍子抜け。結局、臨時の場所と云うことが原因なのかもしれない。
 全体として胡散臭い感じはあまりなく、ある意味、安全なのかのしれないが、オレのイメージとはやはり違っていて、初日の印象は変わらなかった。
 ちなみに、夕食は初日に行った路地にあった油飯と蟹汁を食べた。ジャンクなのに蟹は本当にツメ肉が4つも入っており、美味で大満足だった。
 いくつかの土産を物色し、現地のCDなどそれなりに成果を上げ、ラストにプリンミルク紅茶を食す。名前から想像するスイートな感じとは微妙に異なり、プリン感もなくあったりとした味わい。不味くはないが、これならQQにしとけばよかったかとちょっと思う。

 なんだかんだいって深夜近くまで夜市を徘徊し、ホテルへ戻る。今日はあまりにも遅くなりすぎたので定番コースのマッサージはパスし、自在食とビールという王道パターンでしめる。


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